Version: Unity 6.0 (6000.0)
言語 : 日本語
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Windows ビルド設定のリファレンス

Windows Player: IL2CPP スクリプティングバックエンド

Windows Player 用のプロジェクトをビルドする場合に、スクリプティングバックエンドとして Mono の代わりに IL2CPP を使用できます。

IL2CPP を使用してプロジェクトをビルドする場合、Unity はネイティブのバイナリを作成する前に、IL コードをスクリプトやアセンブリから C++ に変換します。詳細は IL2CPP を参照してください。

IL2CPP 用の C++ ソースコードプラグイン

IL2CPP スクリプティングバックエンドを使用するときに、C++ (.cpp) コードファイルを直接 Unity プロジェクトに加えることができます。C++ ファイルは Plugin Inspector 内でプラグインとして機能します。Windows Player と互換性を持つように C++ ファイルを設定すると、Unity はマネージアセンブリから生成された C++ コードと共にそれらをコンパイルします。

C++ ファイルのプラグインインポーター設定を表示するには、.cpp ファイルをクリックし、Inspector のプラットフォーム設定セクションで適切な Windows オプションを選択します。

C++ ファイルのプラグインインポーターの設定
C++ ファイルのプラグインインポーターの設定

関数は生成された C++ コードでまとめてリンクされているため、_P/Invoke への別の DLL はありません。このため、DLL 名の代わりに “__Internal” キーワードを使用します。これにより、関数をランタイムにロードするのではなく、関数を解決するのは C++ リンカーの役割となります。以下はその例です。

[DllImport("__Internal")]
private static extern int
CountLettersInString([MarshalAs(UnmanagedType.LPWStr)]string str);

このような関数を NativeFunctions.cpp で以下のように定義することができます。

extern "C" __declspec(dllexport) int __stdcall CountLettersInString(wchar_t* str)
{
    int length = 0;
    while (*str++ != L'\0')
        length++;
    return length;
}

リンカーが関数呼び出しを解決するため、マネージ側の関数宣言 (マネージランタイムで実行される C# コード) で発生するエラーは、ランタイムエラーではなくリンカーエラーになります。このため、ランタイム中に動的なロードは行われず、C# から関数が直接呼び出されることで、P/Invoke 呼び出しのパフォーマンスオーバーヘッドが大幅に減少します。

Unity は、生成された C++ コードと同じ C++ コンパイラー引数を使用してソースコードプラグインをコンパイルしますが、これは変更できません。プラグインソースコードの一部で C++ コンパイラー引数を制御する必要がある場合は、代わりにネイティブのプラグインをビルドする必要があります。詳細については、ネイティブプラグイン に関するドキュメントを参照してください。

IL2CPP ビルドファイル

IL2CPP スクリプティングバックエンドを使用するプロジェクトでは通常、以下のファイルが生成されます。

ビルド中に生成される IL2CPP ファイル
ビルド中に生成される IL2CPP ファイル

以下のファイルは、IL2CPP を使用するプロジェクトに共通です。

ファイル 説明:
a_Data ゲームデータを持つフォルダー
a.exe メインのゲーム実行ファイル
UnityCrashHandler64.exe クラッシュハンドラの実行ファイル
UnityPlayer.dll すべてのネイティブコードを含む Unity Player ライブラリ
WinPixEventRuntime.dll Windows ランタイムの PIX。このファイルは開発ビルドにのみ存在します。
a_BackUpThisFolder_ButDontShipItWithYourGame ゲームのデバッグに必要なデータを格納するフォルダー。PDB (デバッグ情報) ファイルや、スクリプトから生成された C++ コードなどが含まれます。このフォルダーは、ビルドを出荷するたびにバックアップする必要がありますが、再配布しないでください。
GameAssembly.dll IL2CPP ランタイムとすべてのスクリプトコードを含むライブラリ
SymbolMap すべてのマネージ関数のアドレスとその長さのリストを含むファイル。IL2CPP はマネージスタックトレースを解決するために、これを必要とします。これを削除してもゲームは実行できますが、例外によって適切なコールスタックが生成されるという保証はありません。

その他の参考資料

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