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    HD レンダーパイプライン概要

    ここでは HD レンダーパイプライン (High Definition Render Pipeline、HDRP) で使える、すべての機能に関する概要を紹介します。このドキュメントでは、以下のカテゴリーの機能について説明します。

    • プロジェクト
    • マテリアル
    • ライティング
    • カメラ
    • ツール
    • プログラミング

    プロジェクト

    プラットフォームサポート

    HDRP プロジェクトは、Xbox One、PS4 で使え、DirectX 11、DirectX 12、Metal、ならびに Vulkan に互換性のあるデバイスにシェーダーを計算することができます。

    仮想現実 (VR)

    HDRP は VR と互換性があり、単一パスレンダリング向けに最適化されています。VR に関する詳細は、VR ドキュメント を参照してください。

    カメラ相対レンダリング

    HDRP を使い、遠方のオブジェクトを大きなワールド空間座標で、ビルトインレンダーパイプラインよりもより強固で数値的に安定した方法でレンダリングします。HDRP がどのようにこれを実現するかについては、カメラ相対レンダリングドキュメント を参照してください。

    動的解像度

    動的解像度を使う際、HDRP は異なる解像度でレンダリングを行えます。そのために、もしあればハードウェア機能を使うか、もしくは現在のビューポートと同等または小さいサイズのレンダーターゲットをレンダリングします。これにより Unity プロジェクトで安定したフレーム率を維持することができます。動的解像度に関する詳細、ならびに HDRP がサポートするタイプについては、動的解像度ドキュメント を参照してください。

    ボリューム

    ボリュームは、環境シーン設定およびポストプロセスエフェクトをローカライズするために使います。シーン中に複数のボリュームを使うことができ、フォグ密度、空の色、またはカメラの位置に応じた露出などの効果を実現できます。HDRP でのボリュームの使い方については、ボリューム を参照してください。 

    マテリアル

    HDRP シェーダーでは、次の機能を使うことができます。

    • 不透明/透明サーフェス

      • 透明サーフェス用の異なるブレンドモード
      • フォグに使える透明サーフェス
      • 透明サーフェス用の屈折および歪み
    • マテリアルタイプ

      • 異方性: ブラッシュドメタルやベルベットなど、異なる角度から見たときに変化するハイライトを持つサーフェス用
      • 遊色: 石鹸の泡や昆虫の羽など、異なる角度から見たときに色が変わって見えるサーフェス用
      • メタリック: スペキュラ―ライティングによってのみ照らされ、スペキュラ―カラーにベースカラー入力を使うサーフェス用。例えば、アルミ、銅、スチールなど
      • スペキュラ―カラー: 色の付いたスペキュラーハイライトを持たせたいサーフェス用
      • サブサーフェススキャタリング: 肌や植物の葉など、光のインタラクションや散乱をシミュレーションする、半透明のサーフェス用
      • 半透明: 光のインタラクションをシミュレーションするものの、マテリアルを透過する光をぼかさないサーフェス用
    • ピクセルおよび頂点ディスプレイスメント: ハイトマップに基づき置き換えたいサーフェス用

    • エミッション: 自己発光ライトソースとして作用させたいマテリアル用

    • デカール: テクスチャを投影したいサーフェス用

    • ディテールマップ: 細かいディテールを追加したいサーフェス用

    Lit シェーダー

    Lit シェーダーを使うと、簡単に現実的なマテリアルを作成するとともに、サブサーフェススキャタリング、遊色、および半透明などのエフェクトにオプションを含めることができます。これは HDRP のデフォルトシェーダーです。シェーダープロパティーの完全なリストを含む詳細は、Lit シェーダードキュメント を参照してください。

    Layered Lit シェーダー

    Layered Lit シェーダーは、メインのマテリアルとその他のタイリング可能なマテリアルを組み合わせ、単体の高解像度テクスチャに似たクオリティーのビジュアルを生みますが、単一の高解像度テクスチャを使った Lit シェーダー よりも、パフォーマンスコストは低いです。シェーダープロパティーの完全なリストを含む詳細は、Layered Lit シェーダードキュメント を参照してください。

    Unlit シェーダー

    Unlit シェーダーではライティングに影響されないマテリアルを作成できます。Unlit シェーダーは、ビジュアルエフェクトに最適です。シェーダープロパティーの完全なリストを含む詳細は、Unlit シェーダードキュメント を参照してください。

    設定内の シャドウマット オプションを使い、ライティングなしでサーフェスがシャドウを受信するようにできます。それぞれアルファを持った不透明、透明シャドウがあります。

    StackLit シェーダー

    StackLit シェーダーは、パフォーマンスよりもクオリティーを重視してLit シェーダーを向上させます。このシェーダーは Lit シェーダーよりも正確になぞり、異方性、サブサーフェススキャタリング、遊色、およびヘイジーパラメータ化などの複数マテリアル機能を同時に使うことができます。

    ヘアシェーダー

    ヘアシェーダーは、Unity プロジェクトで現実的な髪の毛を正確にレンダリングする目的で作られています。より優れたエネルギー節約を特徴とし、より柔軟性のある Kajiya Kay ライトモデルの改善版を使っています。シェーダープロパティーの完全なリストを含む詳細は、ヘアーシェーダー と ヘアーマスタースタック ドキュメントを参照してください。

    ファブリックシェーダー

    ファブリックシェーダーを使うと、HDRP でファブリックマテリアルを現実的にレンダリングできます。コットンウールまたはシルクライティングモデルを使って、幅広い種類のファブリックを作成できます。シェーダープロパティーの完全なリストを含む詳細は、 シルクシェーダー と ファブリックマスタースタック ドキュメントを参照してください。

    AxF シェーダー

    AxF シェーダーは X-Rite AxF で測定されたマテリアルフォーマットをサポートします。Unity Enterprise for Product Lifecylce にある AxF インポーターは、AxF アセットをインポートする際に AxF マテリアルを自動入力します。シェーダープロパティーの完全なリストを含む詳細は、AxF シェーダードキュメント ドキュメントを参照してください。

    デカール

    HDRP ではシーンのサーフェスにデカールを適用することができます。デカールをサーフェスに適用するには、デカールプロジェクターコンポーネント でデカールをサーフェスに投影するか、またはデカールシェーダーを直接メッシュに割り当ててから、メッシュをサーフェスに配置できます。詳細は、デカールドキュメント を参照してください。

    HDRP はゲームオブジェクトがデカールを受信するかどうかを制御できる、デカールレイヤーもサポートしています。

    Terrain (地形) シェーダー

    Terrain (地形) Lit シェーダーはビルトイン地形システムと互換性があり、一度のドローコールで最大 8 つのレイヤーをサポートします。このシェーダーは Lit シェーダーと同じライティングモデルを使います。シェーダープロパティーの完全なリストを含む詳細は、地形 Lit シェーダードキュメント を参照してください。

    ライティング

    ライトタイプ

    HDRP ライトタイプは、シーンでできる限り現実的に照明を当てられるよう、物理ライト単位 を使っています。物理的に正確なライトを作成できるよう、ライトコンポーネント インスペクターには、Intensity および Temperature プロパティーとともに、アイコンが含まれています。各アイコンは、各プロパティーの値が現在表現する、リアルワールドのライトソースを表示します。各アイコンはボタンでもあり、クリックするとリアルワールドのライトソースと一致するプリセット値のリストにアクセスできます。PLU を使用中にライトを正常に作用させるために、HDRP 単位変換 (1 Unity 単位= 1メートル) に従ってください。HDRP ライトタイプは以下の通りです。

    • ディレクショナル

      • 色温度
      • 色付きクッキー
      • シャドウマスク サポート
    • スポット

      • 色温度
      • 色付きクッキー
      • シャドウマスク サポート
      • 円錐、ピラミッドおよびボックス形状
    • ポイント

      • 色温度
      • 色付きクッキー
      • シャドウマスク サポート
    • 矩形

      • 色温度
      • 色付きクッキー
      • シャドウマスク サポート
    • チューブ

      • 色温度
      • シャドウマスク サポートなし
    • ディスク (ベイク済みのみ)

      • 色温度
      • シャドウマスク サポートなし

    ライトプロパティの完全なリストを含む詳細は、ライトコンポーネントドキュメント を参照してください。

    IES プロファイルおよびライトクッキー

    HDRP は、ライトソースからの配光を表す、照明学会 (IES) のファイルフォーマットをサポートしています。IES プロファイルがサポートされるのは、ポイント、スポット (円錐、ピラミッド、およびボックス)、矩形エリア ライト です。また IESプロファイルを クッキー と組み合わせたり、さらにその組み合わせを ライトマップベイキング に使うこともできます。

    リフレクションプローブ

    HDRP は面のスムースネスを考慮するキューブマップリフレクションをサポートしています。HDRP キューブマップリフレクションはオプションとして、偽の距離ベースのラフネスをサポートしています。これはシーンにリアルタイムで現実的なリフレクションを制作するのに役立ちます。詳細は、リフレクションプローブ入門 を参照してください。

    平面リフレクションプローブ

    HDRP は面のスムースネスを考慮する平面リフレクションプローブをサポートしています。これにより、光沢のある鏡や濡れた床を模倣するエフェクトの作成ができます。HDRP には物理ベースに近い、平面リフレクション用の正確なフィルタリングが含まれています。

    詳細は、平面リフレクションプローブ を参照してください。

    スクリーンスペースリフレクションおよび屈折

    HDRP には、リフレクションおよび屈折用の、スクリーンスペースソリューションが用意されています。画面の深度およびカラーバッファを利用して、ライトがカメラへ移動するパスをシミュレーションし、正確なリフレクションと屈折を計算します。これは、窓や水など透明マテリアルにも使えます。詳細は、スクリーンスペースリフレクション および スクリーンスペース屈折 ドキュメントを参照してください。

    スクリーンスペースグローバルイルミネーション

    HDRP はスクリーンスペースグローバルイルミネーション (SSGI) をサポートしています。SSGI とは、環境が生む間接拡散ライティングにアクセスするアルゴリズムのことです。レイマッチングを利用して結果を計算するという点で、スクリーンスペースリフレクション と同じように機能します。

    スクリーンスペースの歪み

    HDRP はディストーション (歪み) に対するスクリーンスペースソリューションを提供しています。歪みは単に芸術的観点に基づいていることを除いて、屈折に類似しています。詳細は、歪み に関するドキュメントを参照してください。

    露出

    HDRP では次を含むいくつかの技法で、露出を計算できます。

    ヒストグラムによる露出

    HDRP のエクスポージャー実装は、破棄する高および低パーセンタイル値を選択できる、画像のヒストグラムを計算します。シャドウまたはハイライトで範囲外の値を破棄することで、より安定したエクスポージャーを計算することができます。

    詳細は、露出 を参照してください。

    測光モード

    HDRP のエクスポージャー実装には、測光マスクが含まれます。これにはテクスチャベースのマスクおよびプロシージャルモードが含まれます。

    詳細は、露出 を参照してください。

    放出 (エミッション)

    HDRP マテリアルはライト エミッション をサポートしており、マテリアルを可視性のある自己発光ライトソースにすることができます。グローバルイルミネーションはエミッションを考慮し、物理ライト単位 を使って現実世界のライトに基づいて強度を設定できます。

    シャドウ

    HDRP は複数の技法を使ってシャドウを計算します。

    • シャドウカスケード: HDRP はカスケードスプリットを使い、カメラからの距離を基にして、ディレクショナルライトによって投影されるシャドウのクオリティを制御します。
    • コンタクトシャドウ: HDRP は深度バッファ内で レイマーチ し、シャドウをプロセスします。従って HDRP は通常のシャドウアルゴリズムでは捉えられない詳細をキャプチャできます。
    • マイクロシャドウ: HDRP はマテリアルの法線マップおよびアンビエントオクルージョンを使って、これらのマップがメッシュであった場合に投影するであろうシャドウを推定します。

    PCF や PCSS などの異なるフィルターを適用し、メインのカスケードシャドウマップのエイリアシングを減少させることができます。

    パンクチュアルおよびエリアライトシャドウについては、ライトが画面をどれくらいカバーするかに基づいて、動的解像度を使います。HDRP はシャドウアトラスのコンテンツをリスケールし、フルにならないようにします。HDRP が使うフィルタリングアルゴリズムに関する詳細は、フィルタリングクオリティドキュメント を参照してください。

    シャドウマップの上級者向け設定では、シャドウまたはシャドウの半影にティントを適用できる場合があります。

    空

    HDRP では、シーンにおけるカメラの位置に応じて空の設定や空自体のタイプも変更できるよう、 ボリューム 内で空を設定します。また環境ライティング用の空と実際に表示する空を分けることもできます。HDRP には Unity プロジェクトで使える、以下のビルトインのスカイタイプが含まれています。

    • Gradient Sky: スカイの上部、中部、下部に 3 つのカラーゾーンを持つ、簡単なスカイをレンダリングします。
    • HDRI Sky: HDRI ボリュームコンポーネント内で設定されたキューブマップテクスチャに基づいて、スカイ環境を制作します。
    • Physically Based Sky: 高度に合わせて密度が指数関数的に減少する、二部構成の大気を持つ球体惑星をシミュレーションします。
    • Procedural Sky: プロシージャルスカイボリュームコンポーネント内で選択した値に基づいた環境を制作します。これは Unity の ビルトイン render pipeline プロシージャルスカイ に類似します。このスカイタイプは非推奨ですが、HDRP プロジェクトでの利用は可能です。使い方に関する詳細は、2019.3 へのアップグレード を参照してください。

    HDRP は異なるカメラから見た複数の空に対応します。

    フォグ

    HDRP では、シーンにおけるカメラの位置に応じてフォグ設定やフォグのタイプ自体も変更できるよう、 Volume 内でフォグを設定します。自分でフォグの色を設定することも、あるいはスカイの色を使うこともできます。HDRP フォグは、不透明および透明サーフェスマテリアルの両方に影響を与えます。また HDRP は指数関数的 フォグ をオプションのボリュメトリックの効果とともに実装します。

    ライトレイヤー

    ライトレイヤーは、ライトおよびメッシュに特定するレイヤーマスクです。ライトは、有効化されたライトレイヤーにあるメッシュのみに照明を当てます。シャドウマップ設定でライトレイヤーを使い、ライトからシャドウを分離することもできます。ライトレイヤーに関する詳細は、 ライトレイヤードキュメント を参照してください。

    シャドウマップドロップダウンにあるライトレイヤーは、どのライトからどのオブジェクトがシャドウを受信するかを制御するためにも使うことができます。デフォルトにより、ライトレイヤーとシャドウマップライトレイヤーは同期化されており、結果に一貫性があります (オブジェクトがライトを受けるとシャドウを投影します)。シャドウマップライトレイヤーに関する詳細は、Shadow Light Layer セクション を参照してください。

    スクリーンスペースアンビエントオクルージョン

    HDRP にはリアルタイムのアンビエントオクルージョンを概算する、スクリーンスペースアンビエントオクルージョン エフェクトが含まれています。シーンのライトとゲームオブジェクトの周辺環境に基づいて、ゲームオブジェクト面のアンビエントライトの強度および位置を概算します。

    スクリーンスペーススペキュラーオクルージョン

    また HDRP は、方向情報をサポートするスクリーンスペースアンビエントオクルージョンエフェクトに拡張を提供しています。HDRP はこれを間接反射光に直接適用します。

    物理ライト単位

    HDRP はシーンで現実的な照明を簡単に利用できるよう、リアルワールドの物理ライト単位を使います。HDRP が使う単位のリストを含む物理ライト単位に関する詳細は、 物理ライト単位ドキュメント を参照してください。

    物理ライト単位を使用する際、ライトの強度が高すぎて精密度の問題やハイライトの固定が生じる場合があります。 この対策として、HDRP はプリエクスポージャーを使います。プリエクスポージャーは、前のフレームからカメラのエクスポジションを適用してから、ライト情報を保存します。

    レイトレーシング (プレビュー)

    HDRP はレイトレーシングを使って、スクリーンスペースエフェクト、シャドウイング技法、およびメッシュレンダリング技法のいくつかの置き換えをします。 リアルタイムレイトレーシングエフェクトは、現在プレビュー状態ですので、今後動作が変更される場合があります。

    • レイトレースによるアンビエントオクルージョン は スクリーンスペースアンビエントオクルージョン をオフスクリーンデータを使える、より正確にレイトレースによるアンビエントオクルージョン技法に置き換えます。
    • レイトレーシングによるコンタクトシャドウ は コンタクトシャドウ をオフスクリーンデータを使える、より正確にレイトレーシングによるコンタクトシャドウ技法に置き換えます。
    • レイトレーシングによるグローバルイルミネーション は HDRP のライトプローブおよびライトマップにとって代わるものです。
    • レイトレーシングによるリフレクション は、スクリーンスペースリフレクション をフスクリーンデータを使える、より正確にレイトレーシングによるリフレクションに置き換えます。
    • レイトレーシングによるシャドウ は、ディレクショナル、ポイント、およびエリア ライト のシャドウマップを置き換えます。
    • 再帰的レイトレーシング はメッシュのレンダリングパイプラインを置き換えます。この機能を使うメッシュは、リフレクションと屈折を再帰的に投影します。
    • レイトレースによるサブサーフェススキャタリング は、オフスクリーンデータを使える サブサーフェススキャタリング にとって代わるものです。

    カメラ

    ポストプロセス

    HDRP には群を抜いてクオリティーの高いグラフィックスを制作するためのポストプロセスに向けた、特定の目的を持った実装が含まれています。ポストプロセスを使ってフルスクリーンフィルターやエフェクトをカメラに適用し、ごくわずかな設定時間で Unity プロジェクトのビジュアルを劇的に向上させることができます。HDRP ポストプロセスの概要は、ポストプロセスドキュメント を参照してください。

    累積モーションブラー

    HDRP には高品質累積モーションブラーなどのエフェクトをレンダリングできる、Recording API が含まれています。この技法は複数の中間サブフレームからの情報を組み合わせて、最終 "統合型" フレームを作成します。この API では、スクリプトが適切に統合された最終フレームを抽出し、引き続きプロセスを実行するかまたはディスクに保存することができます。

    この機能に関する情報およびスクリプト例は、マルチフレームレンダリングおよび累積 を参照してください。

    アンチエイリアス

    HDRP にはパフォーマンスとクオリティーを維持しつつエイリアシングエフェクトを除去するために、次の アンチエイリアス 技法が用意されています。

    • Multisample Anti-aliasing (MSAA): 各ピクセル内で複数箇所をサンプリングし、これらのサンプルを組み合わせて最終ピクセルを生成します。アルファを使ってエリアをエリアをマスクして MSAA を使うことができます。HDRP の中で、最もリソース負荷の高い技法です。
    • Temporal Anti-aliasing(TAA): 履歴バッファからのフレームを使い、FXAA よりも効率的にエッジを滑らかにします。動いているエッジを滑らかにするのに長けていますが、このためにはモーションベクトルを有効にしなければなりません。
    • Subpixel Morphological Anti-aliasing(SMAA): 画像の境界でパターンを見つけて、そのパターンに従って境界線上でピクセルをブレンドします。
    • Fast Approximate Anti-aliasing(FXAA): ピクセルレベルでエッジを滑らかにします。これは最もリソース負荷の低いアンチエイリアス技法です。

    物理カメラ

    HDRP は、物理ライト単位 などその他の物理機能と円滑に連携する物理ベースのカメラシステムを使い、物理的に正確かつ統一された結果を制作します。物理ベースのカメラはリアルワールドのカメラと同じように作動するため、同じプロパティーを使います。これにより、エクスポージャーや被写界深度などのエフェクトも含め、HDRP カメラがリアルワールドのカメラを模倣するように設定できます。使い方を含む HDRP の物理ベースのカメラに関する詳細は、Camera コンポーネントドキュメント を参照してください。

    カスタムポストプロセス

    Posterize

    HDRP ではボリュームフレームワークと統合した独自のカスタムポストプロセスを追加できます。不透明およびスカイオブジェクトの後、Temporal Anti-aliasing パスの前、ビルトインポストプロセスの前または後に注入することができます。詳細は、カスタムポストプロセスドキュメント を参照してください。

    カスタムパス

    HDRPFeatures-CustomPass

    カスタムパスではレンダーループ内のある時点で、シェーダーと C# を投入することができ、オブジェクトの描画、フルスクリーンパス、深度、カラーまたは法線などのカメラバッファの読み込みが可能になります。詳細は カスタムパスドキュメント を参照してください。

    カスタムパス API では、メインカメラのレンダリング内で、無効化されたカメラなど、別の視点からゲームオブジェクトをレンダリングすることができます。この API はまた、深度、法線、および接線を RTHandle にレンダリングするための、ビルトインサポートが用意されています。

    またこのカメラオーバーライドを使い、一人称アプリケーションの腕など、異なる有効視野のゲームオブジェクトもレンダリングできます。

    カスタムパス AOV エクスポート

    img

    この機能を使うと、HDRP の AOV (任意出力変数) の API の拡張を利用して、カスタムパス投入ポイントから任意のデータをエクスポートできます。使用例としては、カスタムパスでレンダリングされた “オブジェクト ID” のエクスポートが挙げられます。機能に関する情報およびスクリプト例は、 AOV ドキュメント を参照してください。 

    パストレーシング

    パストレースされた DOF

    HDRP にはクオリティーの高い焦点ボケブラーのかかったパストレースされた画像を生成する、被写界深度モードが含まれています。ポストプロセスされた被写界深度と比べると、このモードは複数の透明レイヤーと作動し、パストレースされた画像に典型的に発生するノイズ以外は、アーティファクトが生まれません。これを修正するには、サンプル数を増やすか、または外部ノイズ除去ツールを使用します。

    この機能に関する詳細は、被写界深度 を参照してください。

    パストレーサー統合

    HDRP には統合型のパストレースされた画像をレンダリングできる、Recording API が含まれています。この技法は複数の中間サブフレームからの情報を組み合わせて、最終 "統合型" フレームを作成します。この API では、スクリプトが適切に統合された最終フレームを抽出し、引き続きプロセスを実行するかまたはディスクに保存することができます。

    パストレースされたサブサーフェススキャタリング

    パストレーシングは酔歩アプローチを使って、サブサーフェススキャタリング (SSS) をサポートします。パストレーシングを有効にし、HDRP マテリアルと同様に SSS を設定して使います。

    HDRP の SSS に関する情報は、サブサーフェススキャタリング を参照してください。

    パストレースされたフォグ

    現在パストレーシングは、フォグ吸収をサポートしています。この機能を使うには SSS と同様に、パストレーシングを有効にして、HDRP の標準フォグと同様にフォグを設定します。

    HDRP のフォグに関する情報は、フォグ を参照してください。

    ツール

    Render Pipeline ウィザード

    HDRP を迅速に正しく設定するため、HDRP には Render Pipeline ウィザードが用意されています。ウィザードを使えば、設定問題をボタン 1 つクリックするだけで解決できる上に、デフォルトのシーン設定で既に設定されているテンプレートシーンの作成もできます。Render Pipeline ウィザードの詳細および使い方については、Render Pipeline ウィザードドキュメント を参照してください。

    Render Pipeline デバッガー

    Render Pipeline デバッガーには、どんな問題も迅速に理解および解決するのに役立つ、デバッグおよび可視化ツールが多く含まれています。Render Pipeline デバッガーの詳細および使い方については、Render Pipeline デバッガードキュメント を参照してください。

    LookDev

    LookDev は、良好で一貫したライティング環境でアセットをインポートおよび表示できるビューアーです。アウトソースされたアセットの認証または独自に作成したアセットを HDRP 紹介する際に利用してください。LookDev に関する詳細および使い方については、LookDev ドキュメント を参照してください。

    デバッグモード

    HDRP にはアセット、ライティング、およびシーンをデバッグする、デバッグモードが含まれています。

    ライティングデバッグビュー

    シーンにおけるライティングのデバッグができるよう、HDRP にはライトの様々なコンポーネントを複数のパーツに分離する、ライティングバッグビューモードが多々含まれています。これらのデバッグモードは AOV API でレコーダーがコンポーネントをエクスポートする際にも利用できます。

    • 拡散
    • スペキュラ―
    • 直接ディフューズ
    • 直接スペキュラ―
    • 間接ディフューズ
    • リフレクション
    • 屈折

    ライトレイヤーデバッグモード

    HDRP には各ゲームオブジェクトに割り当てられたライトレイヤーを表示する、または特定のライトのライトレイヤーと一致するゲームオブジェクトをハイライトする、ライトレイヤー デバッグモードが含まれています。

    詳細は、HDRP デバッグウィンドウ のライティングパネルセクションを参照してください。

    ボリュームデバッグモード

    Render Pipeline デバッグウィンドウには、特定のカメラに影響するボリュームコンポーネントを表示する、ボリュームパネルがあります。

    補間された最終値に付与する各ボリュームについては、各プロパティーの値とオーバーライドされるか否かがボリュームパネルに表示されます。またボリュームのウェイトとブレンド距離を用いて、ボリュームの影響率を計算します。

    詳細は、 HDRP デバッグウィンドウ のボリュームパネルセクションを参照してください。

    クアッドオーバードローおよび頂点密度

    このデバッグツールは、2 部で構成されます。

    • クアッド概要: 小さなまたは薄い三角形によって生じる複数のフラグメントシェーダーを実行する GPU クアッドをハイライトします。
    • 頂点密度: 複数の頂点シェーダーを実行するピクセルを表示します。

    これは遠くにあるメッシュや詳細度の高いメッシュに有効です。このデバッグツールは、シーンで LOD を必要とする可能性のあるゲームオブジェクトを見つけるのに便利です。このモードは現在、メタルではサポートされていません。

    MatCap モード

    MatCap モードでは、シーンウィンドウのライティングボタンの機能性をマテリアルキャプチャ (MatCap.md) ビューに置き換えます。このモードは特に、シーンライティングを設定せずにシーンの感覚を掴むのに役立ちます。使用方法を含む MatCap モードの詳細は、MatCap モード を参照してください。

    バックプレート

    HDRI Sky から、矩形、円、楕円、そして無限板など様々な形状とともに、下部を平面に直接投影できます。 シーンのゲームオブジェクトのスケールと一致させるために、ピクセルのフットプリントを変えることができます。

    Light Explorer

    ライトエクスプローラーでは次のライトソースを選択および編集できます。ディレクショナルライト、ポイントライト、スポットライト、エリアライト、リフレクションプローブ、平面プローブ、および空とフォグボリューム

    グラフィックスコンポジター

    グラフィックスコンポジターでは、3D コンテンツレイヤー、静的画像、および動画間のリアルタイム合成ができます。

    このツールは、3 種類の合成技術をサポートします。

    • シェーダーグラフがガイドするグラフベースの合成。
    • カメラスタッキング合成。複数のカメラが同じレンダーターゲットにレンダリングし、その結果がグラフベースの合成に使われます。
    • 3D 合成。合成レイヤーを 3D シーンに挿入して、3D ゲームオブジェクト上の合成レイヤー間でリフレクションや屈折といったエフェクトを作成します。

    概してこのツールを使うと、外部の合成ツールに頼ることなく、Unity 内で画像と動画をリアルタイムの 3D コンテンツと組み合わせ、最終フレームを構成できます。

    機能に関する情報は、HDRP コンポジタードキュメント を参照してください。

    プログラミング

    マテリアルアーキテクチャ

    HDRP はフォワードおよびディファードマテリアルをサポートしています。ディファードマテリアルはフォワードマテリアルよりも効率的ですが、やや限定されたプロパティーをサポートします。フォワードマテリアルにはプロパティー制限はありませんが、ディファードマテリアルよりもレンダリングに時間がかかります。

    HDRP のマテリアルアーキテクチャでは、HDRP でマテリアルを編集するために従わなければならないルールリストを含む、独自のフォワードマテリアルを追加することができます。

    ライティングアーキテクチャ

    HDRP はハイブリッドのタイルとクラスターレンダラーを、不透明および透明のゲームオブジェクトの フォワードおよびディファ―ドレンダリング に使います。これによりローカルライトリストが作成され、HDRP は大量のライトをレンダリングできます。フォワードレンダリングはサブサーフェススキャタリングや異方性のある、より複雑なマテリアルの照明に使います。ディファ―ドレンダリングは、標準 Lit または Unlit マテリアルなど、一般的なマテリアルのライティングのプロセス速度を上げるために使います。HDRP のライティングアーキテクチャの詳細およびタイルとクラスターレンダリングの説明については、ライティングパイプラインドキュメント を参照してください。

    シャドウ更新の制御

    HDRP はライトにシャドウマップを更新するよう要請する API を提供しています。手順は、シャドウマップ更新モードを OnDemand に設定し、RequestShadowMapRendering クラスで RequestShadowMapRendering() を呼び出すだけです。

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