Depth Of Field
Depth Of Field (被写界深度) コンポーネントは、カメラレンズの焦点プロパティーをシミュレーションする、被写界深度エフェクトを適用します。現実世界は、カメラはある特定の距離にあるオブジェクトのみにぴったり焦点を当てることができます。カメラにより近い、またはより遠くにあるオブジェクトは焦点が外れてしまいます。ぼやけることで、オブジェクトの距離を視覚的に示し、Bokeh という、焦点から外れると画像の明るいエリア周辺に現れるビジュアルアーティファクトが出現します。
Depth Of Field の使用
Depth Of Field は Volume フレームワークを使うため、Depth Of Field プロパティーを有効化し変更するには、シーン内で Depth Of Field オーバーライドを Volume に追加しなければなりません。Volume に Depth Of Field を追加する手順は以下の通りです。
- シーンまたは Hierarchy ビューで、Volume コンポーネントを含むゲームオブジェクトを選択し、Inspector で表示します。
- Inspector で Add Override > Post-processing へ移動し、Depth Of Field をクリックします。これで HDRP は Volume が影響を与えるすべてのカメラに対して Depth Of Field を適用します。
被写界深度には、手動で展開できる 追加オプション が含まれています。
API
ランタイム中このオーバーライドにアクセスし制御するためには、Volume スクリプティング API を使用します。Volume システムの仕組みにより、プロパティーは標準 Unity コンポーネントとは異なる方法で編集されます。また、各プロパティーに overrideState があるなど、他にも注意する点があります。これは Volume システムが、設定したプロパティー値と Volume Profile に保存されているデフォルト値のうち、どちらを使うかを指示します。API を正しい利用法についての詳細は、 Volume スクリプティング API を参照してください。
プロパティー

| プロパティー | 説明 |
|---|---|
| Focus Mode | ドロップダウンから、HDRP が被写界深度エフェクトの焦点を設定するために使うモードを選択します。 • Off: 被写界深度を無効にするときこのオプションを選択します。 • Use Physical Camera: 物理 カメラ を使って被写界深度の焦点プロパティーを設定するときに、このオプションを選択します。どの Camera properties が被写界深度に影響するかについては、物理カメラ設定 を参照してください。 • Manual: カスタム値を使って被写界深度の焦点プロパティーを設定するときに、このオプションを選択します。 |
| Focus Distance | カメラからの焦点までの距離を設定します。 このプロパティーは、Focus Mode ドロップダウンから Use Physical Camera を選択したときのみ表示されます。 |
Near Blur (近距離ブラー)
| プロパティー | 説明 |
|---|---|
| Start | 近距離フィールドブラーが強度を軽減し始める Camera からの距離を設定します。 このプロパティーは、Focus Mode ドロップダウンから Manual を選択したときのみ表示されます。 |
| End | 近距離フィールドがブラーの実行をしなくなる Camera からの距離を設定します。 このプロパティーは、Focus Mode ドロップダウンから Manual を選択したときのみ表示されます。 |
| Sample Count | 近距離フィールドに使うサンプル数を設定します。値が低いほど、パフォーマンスは向上しますが、ビジュアルの精密度は犠牲になります。 |
| Max Radius | 近距離ブラーが到達できる最大半径を設定します。 |
Far Blur (遠距離ブラー)
| プロパティー | 説明 |
|---|---|
| Start | 遠距離フィールドがブラーを開始する Camera からの距離を設定します。 このプロパティーは、Focus Mode ドロップダウンから Manual を選択したときのみ表示されます。 |
| End | 遠距離フィールドブラーが最大ブラー半径に到達する Camera からの距離を設定します。 このプロパティーは、Focus Mode ドロップダウンから Manual を選択したときのみ表示されます。 |
| Sample Count | 遠距離フィールドに使うサンプル数を設定します。値が低いほど、パフォーマンスは向上しますが、ビジュアルの精密度は犠牲になります。 |
| Max Radius | 遠距離ブラーが到達できる最大半径を設定します。 |
Advanced Tweaks (より細かい調整)
| プロパティー | 説明 |
|---|---|
| Resolution | ドロップダウンから HDRP が被写界深度エフェクトをプロセスする解像度を設定します。ターゲットとするコンソールが非常に高い解像度 (例えば 4k など) を使う場合は、よりリソース負荷の軽い Quarter を選択します。 • Quarter: 画像解像度の 1/4 を使います。 • Half: 画像解像度の半分を使います。 このプロパティーは 追加オプション を有効にしたときのみ表示されます。 |
| High Quality Filtering | チェックボックスを有効にすると、HDRP はバイリニアフィルタリングではなく、バイキュービックフィルタリングを使います。これは Depth Of Field エフェクトのリソース負荷を増やしますが、より滑らかなビジュアルが実現できます。 このプロパティーは 追加オプション を有効にしたときのみ表示されます。 |
| Physically Based | チェックボックスを有効にすると、HDRP は Deph-of-Field の演算により正確で、ただしより遅い物理ベース技法を使います。特にサンプル数が少ない場合に、同時に Temporal anti-aliasing (TAA) を有効にし、品質を向上させることを強くお勧めします。 焦点が外れたブラーの量は、この値に左右されます。有効にすると、焦点が外れたブラーは カメラ の物理カメラプロパティーと一致する設定を持つ、現実世界のカメラに、より近くなります。ただし、HDRP はパフォーマンスと品質の理由から、焦点の外れたブラーの最大半径を (Max Radius プロパティーを使って) キャプチャするため、現実世界のカメラと全く同じにはなりません。 |
Physical Camera (物理カメラ) 設定
こちらは、Focus Mode ドロップダウンから Use Physical Camera を選択したときに、Depth of Field エフェクトに影響を与える物理 カメラ プロパティーのリストです。
| プロパティー | 効果 |
|---|---|
| Aperture | この値が大きいほど、ボケ および全体的なブラーエフェクトが大きくなります。 |
| Blades Count | ボケの形状を決定します。このプロパティーが持つエフェクトに関する詳細は、下の例を参照してください。 |
| Curvature | ブレードがどれくらい見えるかを決定します。これを使って、ブラーのボケの丸さを変更します。このプロパティーが持つエフェクトに関する詳細は、下の例を参照してください。 |
この例では、Blade Count と Curvature プロパティーがボケの形状にどのように影響するかを示します。
- 左側には、やや開いている 5 つのブレードアイリスがあり、五角形のボケを形成しています。
- 右側には、大きく開いた 5 つのブレードアイリスがあり、円形のボケを形成しています。

パストレースされた被写界深度
パストレーシング を有効にして、Focus Mode を Use Physical Camera に設定すると、HDRP はポストプロセスエフェクトとしてではなく、パストレーシング中に直接、被写界深度を演算します。
パストレースされた被写界深度は、パストレーシングサンプルが不十分な際のノイズ以外は、アーティファクトを含まない画像を制作します。ノイズレベルを軽減するには、パストレーシング 設定からのサンプル数を増やし、あるいは最終フレームのノイズを除去します。
HDRP はパストレースされた被写界深度をフル解像度で演算し、Volume からの品質設定はすべて無視します。
