ネイティブの Digital Signal Processing (DSP、デジタル信号処理) プラグインを使用して、オーディオを処理し、ユーザーがオーディオエフェクトを試すためのパラメーターを公開できます。Unity が提供するサンプルプラグインは、プラグインを使った試験や、必要なパラメーターについて着想を得るために適しています。
Unity 用のネイティブオーディオプラグインを開発するには、以下を行います。
プラグインをインスタンス化します。
プラグインをアンロードします。
プラグインのオーディオ処理を実施します。
オーディオプラグインファイルを作成するには、以下を行います。
最新のオーディオプラグイン SDK をダウンロードします。
フォルダーで、NativeAudioPlugins > NativeCode に移動します。ここでネイティブのサンプルプラグイン .cpp ファイルが見つかります。
プラグインの .cpp ファイルの 1 つを複製して、独自のプラグインのテンプレートとして使用できるほか、サンプルプラグインファイル (例えば Plugin_Equalizer.cpp) の 1 つでの直接作業や、独自の .cpp ファイルの作成も可能です。
ファイルに AudioPluginUtil.h が含まれていない場合は追加してください。
ユーザーによるプラグインの使用時に操作に役立つようなパラメーターのリストを作成します。パラメーターをプラグインに追加するには、以下を行います。
プラグインの .cpp ファイルで、パラメーターを enum 値として定義します。 例:
enum Param
{
P_FREQ, //Frequency parameter
P_MIX, //Mix parameter
P_NUM //An extra value to keep track of length of the enum
};
UnityAudioParameterDefinitions の配列を作成し、そのサイズをパラメーターの数に設定します。
int numparams = P_NUM;
definition.paramdefs = new UnityAudioParameterDefinition [numparams];
RegisterParameter 関数を使用して、各 enum 値を登録します。
int InternalRegisterEffectDefinition(UnityAudioEffectDefinition& definition)
{
int numparams = P_NUM;
definition.paramdefs = new UnityAudioParameterDefinition [numparams];
RegisterParameter(definition, "Frequency", "Hz",
0.0f, kMaxSampleRate, 1000.0f,
1.0f, 3.0f,
P_FREQ);
RegisterParameter(definition, "Mix amount", "%",
0.0f, 1.0f, 0.5f,
100.0f, 1.0f,
P_MIX);
return numparams;
}
以下の表は、RegisterParameter 関数の概要、そのパラメーター、および前述のコード例での使用方法を示しています。
| パラメーターのタイプと名前 | コード例での変数 | 説明 |
|---|---|---|
UnityAudioEffectDefinition definition |
definition |
UnityAudioEffectDefinition 構造には、UnityAudioParameterDefinition の配列が含まれます。RegisterParameter 関数はパラメーター定義をこの配列にエントリーとして挿入します。 |
char* name |
“Frequency”、“Mix Amount”
|
パラメーターに付ける表示名です。 |
char* unit |
“Hz”、“%”
|
値の型を表します。 |
float minval |
0.0f |
パラメーターの最小値です。 |
float maxval |
kMaxSampleRate、1.0f
|
パラメーターの最大値です。 |
float defaultval |
1000.0f、0.5f
|
パラメーターのデフォルトと初期値です。 |
float displayscale |
1.0f、100.0f
|
パラメーターのディスプレイ専用のスケールファクターです。例えば、サンプルコードのパーセンテージの最小値が 0、最大値が 1、スケールファクターが 100.0f の場合、実際の値は 0 から 1 の間ですが、Unity の GUI に表示される値は 0 から 100% の間になります。 |
float displayexponent |
3.0f、1.0f
|
スライダーにパラメーターをマップします。 |
int enumvalue |
P_FREQ、P_MIX
|
これらの値を割り当てる enum 値です。 |
以上の基本パラメーター定義から、デフォルト GUI が生成されます。
プラグインのインスタンスを作成するには、CreateCallback 関数を使用します。Unity では、プラグインを作成するとすぐに CreateCallback 関数が呼び出されます。null の場合もあります。
struct EffectData
{
struct Data
{
float p[P_NUM]; // Parameters
float s; // Sine output of oscillator
float c; // Cosine output of oscillator
};
union
{
Data data;
unsigned char pad[(sizeof(Data) + 15) & ~15];
};
};
UNITY_AUDIODSP_RESULT UNITY_AUDIODSP_CALLBACK CreateCallback(
UnityAudioEffectState* state)
{
EffectData* effectdata = new EffectData;
memset(effectdata, 0, sizeof(EffectData));
effectdata->data.c = 1.0f;
state->effectdata = effectdata;
InitParametersFromDefinitions(
InternalRegisterEffectDefinition, effectdata->data.p);
return UNITY_AUDIODSP_OK;
}
UnityAudioEffectState オブジェクトは、ホストから受信したデータを保存し、そのデータをすべてのコールバック関数に渡します。保存されるデータには以下が含まれます。
サンプリングレート
処理されたサンプルの総数 (タイミング)
プラグインがバイパスされているかどうか
プラグインインスタンスを解放するには、ReleaseCallback 関数を使用します。Unity は、プラグインを解放する直前に ReleaseCallback 関数を呼び出し、プラグインのこの特定のインスタンスに関連付けられているデータも解放します。この後、このインスタンスに関連するコールバックは発生しません。
UNITY_AUDIODSP_RESULT UNITY_AUDIODSP_CALLBACK ReleaseCallback(
UnityAudioEffectState* state)
{
EffectData::Data* data = &state->GetEffectData<EffectData>()->data;
delete data;
return UNITY_AUDIODSP_OK;
}
オーディオ処理を行うには、ProcessCallback 関数を使用します。Unity は、読み取り用の入力オーディオのブロックと書き込み用の出力ブロックを使用して、ProcessCallback 関数を繰り返し呼び出します。
以下のコードは、正弦波形をすべてのチャンネルに乗算する例を示します。
UNITY_AUDIODSP_RESULT UNITY_AUDIODSP_CALLBACK ProcessCallback(
UnityAudioEffectState* state,
float* inbuffer, float* outbuffer,
unsigned int length,
int inchannels, int outchannels)
{
EffectData::Data* data = &state->GetEffectData<EffectData>()->data;
float w = 2.0f * sinf(kPI * data->p[P_FREQ] / state->samplerate);
for(unsigned int n = 0; n < length; n++)
{
for(int i = 0; i < outchannels; i++)
{
outbuffer[n * outchannels + i] =
inbuffer[n * outchannels + i] *
(1.0f - data->p[P_MIX] + data->p[P_MIX] * data->s);
}
data->s += data->c * w; // cheap way to calculate a sine-wave
data->c -= data->s * w;
}
return UNITY_AUDIODSP_OK;
}
GetEffectData 関数は、状態変数の effectdata フィールドを、その構造の EffectData::Data にキャストするヘルパー関数です。
Unity のプラグインパラメーターの表示をカスタマイズする場合は、オーディオプラグインの GUI のカスタマイズを参照してください。
プラグインを Unity にインポートするには、ネイティブ DSP プラグインと GUI の Unity での使用を参照してください。