AOV Image Sequence Recorder プロパティー
AOV レコーディングとは、特定のカメラから見えるシーンから、特定のレンダーパスデータを抽出する処理です。主に、シーン内のゲームオブジェクトのマテリアル、ジオメトリ、深度、モーション、ライティングレスポンスなどのレンダーパスが含まれます。
Unity AOV Recorder は、連続した画像を圧縮 HDR EXR を含む様々なフォーマットで生成し、様々な 使用例 に対応した、複数の AOV のレコーディングをサポートします。
このページでは、AOV Image Sequence Recorder タイプ固有の全プロパティーについて説明します。
ノート: レコーダーを完全に設定するには Recorder ウィンドウ または Recorder クリップ のどちらのレコーディングインターフェースを使用しているかに応じて、全般的なレコーディングプロパティーを設定する必要があります。
AOV Recorder プロパティーは、主に 3 つのカテゴリに分類されます。
Capture
このセクションでは、レコーディングのソースとコンテンツを定義できます。AOV to export の選択、レコーディングに使用する ソースカメラ の選択、記録したビュー のその他のプロパティーの調整などの設定を含みます。
AOV to Export
必要に合わせて、記録する AOV タイプを選択してください。
ヒント: 使用例のリスト を確認して、全体像を把握し、選択する際の参考にしてください。
以下の表は、各フレームに記録されるデータタイプと、各ピクセルの値が持つ意味を示しています。
AOV | 記録データ | ピクセル値 |
---|---|---|
Beauty | アルファを含まない最終のレンダービュー (ポストプロセス完了後)。 | RGB 値。 |
Albedo | ライティング計算と影を考慮しない、ビュー内の物体の全体的な知覚色。オブジェクトのマテリアルのアルベド値やアルベドマップのデータが含まれます。 | RGB 値。 |
Normals | 幾何学的な法線とマテリアルの法線マップから得られる、ビュー内の表面の法線。 | R、G および Bチャンネル: R、G および B チャンネルの値はそれぞれ、ワールド空間における法線の X、Y、Z ベクトル座標を表します。 |
Smoothness | ビュー内の表面の光沢や粗さ。オブジェクトのマテリアルのスムースネス値やスムースネスマップのデータが含まれます。 | グレースケール: • 黒 (値が 0) = 粗い • 白 (値が 1) = 光沢 |
Ambient Occlusion | ビュー内のオブジェクトのマテリアルマップから得られるアンビエントオクルージョンデータです。アンビエントオクルージョン効果によるデータは含まれません。 | グレースケール: • 黒 (値が 0) = 完全遮蔽 • 白 (値が 1) = 遮蔽されていない |
Metal | ビュー内のメタリック面や非メタリック面。オブジェクトのマテリアルの Metal 値や Metal マップのデータが含まれます。 | グレースケール: • 黒 (値が 0) = 非金属 • 白 (値が 1) = 金属 |
Specular | ビュー内のオブジェクトのスペキュラー色。オブジェクトのマテリアルのスペキュラー色の値やスペキュラー色マップのデータが含まれます。 | RGB 値。 |
Alpha | ビュー内のオブジェクトの透明度や不透明度。オブジェクトのマテリアルのアルファ値やアルファマップのデータが含まれます。 | グレースケール: • 黒 (値が 0) = 透明 • 白 (値が 1) = 不透明 |
Diffuse Lighting | シーンの現在のライトに応じた、ビュー内のオブジェクトのディフューズライトレスポンスを指し、オブジェクトのマテリアルに依存します。影も含まれます。 | RGB 値。 |
Specular Lighting | シーンの現在のライトに応じた、ビュー内のオブジェクトのスペキュラーライトレスポンスを指し、オブジェクトのマテリアルに依存します。影も含まれます。 | RGB 値。 |
Motion Vectors | レコーディングカメラから認識された、オブジェクトの相対的な動きを表す 2 次元ベクトル。 | R および G チャンネルのみ: • R および G チャンネルの値はそれぞれ、画像平面上のベクトルの水平および垂直座標を表します。 • 値は -1 から 1 の範囲をとり、レコーディングのために選択した Output Resolution で正規化されます。 |
Depth | ファークリップ面 (カメラから最も遠い点) とニアクリップ面 (カメラに最も近い点) の間にある、ビュー内のオブジェクトの相対的な距離。 | グレースケール: • 黒 (値が 0) = ファークリップ面 • 白 (値が1) = ニアクリップ面 |
ソースカメラ
レコーディングのキャプチャに使用するカメラを選択します。
プロパティー | 機能 | |
---|---|---|
Camera | レコーダーが AOV レコーディングのキャプチャに使用するカメラを指定します。 | |
Main Camera | MainCamera タグ が割り当てられたカメラ。 | |
Tagged Camera | 特定の タグ が割り当てられたカメラ。 このオプションを選択した場合は、Tag フィールドに値を入力する必要があります。 |
|
Tag | Camera を Tagged Camera に設定した際に検索するカメラタグを指定します。 |
記録したビュー
記録したビューのサイズやその他のプロパティーを設定します。
プロパティー | 機能 | |
---|---|---|
Output Resolution | 様々な方法で、記録したビューのサイズを設定することができます。 | |
Match Window Size | 現在選択されているゲームビューの解像度とアスペクト比に合わせます。 | |
[プリセット解像度] | FHD (1080p) や 4K (2160p) など、複数の標準的な動画解像度から選択できます。 数値は画像の高さを表しています。画像の幅を設定するには、特定の Aspect Ratio を選択する必要があります。 |
|
Custom | W および H フィールドに入力されたカスタム幅および高さの値を使用します。 | |
Aspect Ratio | Output Resolution をプリセットの解像度に設定した場合に、記録されるビューの幅と高さの比率 (w:h) を指定します。 | |
[プリセットアスペクト比] | 16:9 (1.7778) や 4:3 (1.3333) など、複数の標準アスペクト比から選択できます。 | |
Custom | 表示されるフィールドに入力したカスタムアスペクト比 (w:h) を使用します。 | |
Flip Vertical | このオプションを有効にすると、レコーダーは出力画像を垂直に反転させます。 これは、動画を上下逆さまに出力するシステムの補正に役立ちます。 |
Format
このセクションでは、記録した画像を保存するメディア形式を設定できます。
プロパティー | 機能 | |
---|---|---|
Format | ファイルのエンコード形式。 PNG、JPEG、EXR (OpenEXR) のいずれかを選択します。EXR は、16 ビットでエンコードされます。 |
|
Color Space | 出力画像に使用する色空間 (ガンマカーブと色域)。 | |
sRGB, sRGB | sRGB カーブと sRGB 原色を使用します。 | |
Linear, sRGB (unclamped) | リニアカーブと sRGB 原色を使用します。 このオプションは、Format を EXR に設定した場合のみ使用できます。 重要: 期待通りの非クランプ値を出力画像で得るためには、以下を行う必要があります。 • シーンの Tonemapping のポストプロセス効果を無効にします。 (メニュー: Edit > Project Settings > HDRP Default Settings の順に選択し、Tonemapping の選択を解除)。Tonemapping オーバーライドを含むすべての Volume でも、ポストプロセス効果を無効にします (Volume を選択し、インスペクターに移動し、Tonemapping があればそれを解除)。 • キャプチャ用に選択したカメラの Dithering を無効にします (インスペクター内の General に移動し、Dithering を解除)。 |
|
Compression | データを保存する際に適用する圧縮方法。 このプロパティーは、Format を EXR に設定した場合のみ使用できます。 |
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None | すべての圧縮を無効にします。 | |
Zip | 一度に 16 のスキャンラインブロックに deflate 圧縮を適用します。 これはデフォルトで選択されています。 |
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RLE | 連長エンコード 圧縮を適用します。 |
Output File
このセクションでは、記録した画像ファイルを保存するための出力 Path (パス) と File Name (ファイル名) のパターン指定ができます。
ノート: Output File プロパティー は、すべてのタイプのレコーダーで共通です。
使用例
AOV レンダーパスを記録して、ポストプロセスで外観を確定したり、リアルタイムの 3D 画像とアクションプレートを合成することができます。例として、以下が挙げられます。
Unity で背景プレートをレンダリングし、オフラインでレンダリングされたキャラクターや、グリーンスクリーンを背景に撮影された人物と合成する。
モーションベクトルを記録して、別の合成ツールでモーションブラーを適用する。
深度パスを記録して、別の合成ツールで被写界深度を適用する。
法線および深度のレンダーパスを記録して、合成でさらなる再ライティングを行う。
アルファと深度のレンダーパスを記録し、シーン内のオブジェクトの実際の距離に応じて、複数のアルファマットを切り離す。