Unity には “プラットフォーム依存コンパイル” という機能があります。これは、スクリプトを分割して、サポートしている 1つのプラットフォームのためにコードの 1部分を排他的にコンパイルし、実行することができるいくつかのプリプロセッサーディレクティブで構成されています。
さらに、コードをエディター内で実行することができるので、コードをモバイル/コンソール特有にコンパイルしたうえでエディターでテストすることができます。
Unity がスクリプトでサポートしているプラットフォームの #define ディレクティブは以下のとおりです。
プロパティー: | 説明: | |
---|---|---|
UNITY_EDITOR | ゲームコードから Unity エディターのスクリプトを呼び出すための #define ディレクティブ | |
UNITY_EDITOR_WIN | Windows 版エディターコードのための #define ディレクティブ | |
UNITY_EDITOR_OSX | Mac OSX 版エディターコードのための #define ディレクティブ | |
UNITY_STANDALONE_OSX | 特に Mac OS (Univeral、PPC、および Intel アーキテクチャを含む)コードをコンパイル/実行するための #define ディレクティブ | |
UNITY_STANDALONE_WIN | Windows スタンドアロンアプリケーションのコードをコンパイル/実行するための #define ディレクティブ | |
UNITY_STANDALONE_LINUX | Linux スタンドアロンアプリケーションのコードをコンパイル/実行するための #define ディレクティブ | |
UNITY_STANDALONE | あらゆるスタンドアロンアプリケーション(Mac、Windows、または Linux)のコードをコンパイル/実行するための #define ディレクティブ | |
UNITY_WII | Wii コンソールのためのコードをコンパイル/実行するための #define ディレクティブ | |
UNITY_IOS | iOS プラットフォームのためのコードをコンパイル/実行するための #define ディレクティブ | |
UNITY_IPHONE | 非推奨。代わりに UNITY_IOS を使用してください。 | |
UNITY_ANDROID | Android プラットフォームのための #define ディレクティブ | |
UNITY_PS3 | PlayStation 3 のコードを実行するための #define ディレクティブ | |
UNITY_PS4 | PlayStation 4 のコードを実行するための #define ディレクティブ | |
UNITY_SAMSUNGTV | Samsung TV 用のコードを実行するための #define ディレクティブ | |
UNITY_XBOX360 | XBox 360 のコードを実行するための #define ディレクティブ | |
UNITY_XBOXONE | XBox One のコードを実行するための #define ディレクティブ | |
UNITY_TIZEN | Tizen プラットフォームのための #define ディレクティブ | |
UNITY_TVOS | Apple TV プラットフォームのための #define ディレクティブ | |
UNITY_WP_8 | Windows Phone 8 のための #define ディレクティブ | |
UNITY_WP_8_1 | Windows Phone 8.1 のための #define ディレクティブ | |
UNITY_WSA | Windows Store Apps のための #define ディレクティブ。.NET Core で C# ファイルをコンパイルするときに NETFX_CORE が定義されます。 | |
UNITY_WSA_8_0 | SDK 8.0 をターゲットにする場合に Windows Store Apps のための #define ディレクティブ | |
UNITY_WSA_8_1 | SDK 8.1 をターゲットにする場合に Windows Store Apps のための #define ディレクティブ | |
UNITY_WSA_10_0 | Universal Windows 10 Apps をターゲットにする場合の Windows Store Apps のための #define ディレクティブ。追加で、.NET Core で C# ファイルをコンパイルするときに WINDOWS_UWP と NETFX_CORE が定義されます。 | |
UNITY_WINRT | UNITY_WP_8 \ に相当 | UNITY_WSA |
UNITY_WINRT_8_0 | UNITY_WP_8 \ に相当 | UNITY_WSA_8_0 |
UNITY_WINRT_8_1 | UNITY_WP_8_1 \ に相当 | UNITY_WSA_8_1 。Universal SDK 8.1 でコンパイルするときにも定義されます。 |
UNITY_WINRT_10_0 | UNITY_WSA_10_0 に相当 | |
UNITY_WEBGL | WebGL の #define ディレクティブ | |
UNITY_ADS | ゲームコードから Unity Ads メソッドを呼び出すための #define ディレクティブ。Unity 5.2 以降で使用可能。 | |
UNITY_ANALYTICS | ゲームコードから Unity Analytics メソッドを呼び出すための #define ディレクティブ。Unity 5.2 以降で使用可能。 | |
UNITY_ASSERTIONS | アサーション制御プロセスの #define ディレクティブ |
Unity 2.6.0 以降、選択的にコンパイルできるようになりました。使用できるオプションは使用しているエディターバージョンによります。 バージョン番号 X.Y.Z (例えば 2.6.0) の場合、Unity は 3つのグローバルな #define ディレクティブを以下の形式で示します。UNITY_X、 UNITY_X_Y、 UNITY_X_Y_Z
Unity 5.0.1 の #define ディレクティブ
UNITY_5 | Unity 5 リリースバージョンの #define ディレクティブです。すべての 5.X.Y リリースで使用可能。 |
UNITY_5_0 | Unity 5.0 リリースバージョンの #define ディレクティブです。すべての 5.0.Z リリースで使用可能。 |
UNITY_5_0_1 | Unity 5.0.1 マイナーバージョンの #define ディレクティブです。 |
コンパイルを必要するコードに使用されている Unity の最も古いバージョンに基づいて、選択的にコードをコンパイルしたり、指定した部分のコードを実行することができます。この使用目的の場合、上記の (X.Y.Z) と同じバージョン形式が使用され、Unity はグローバルな #define ディレクティブを UNITY_X_Y_OR_NEWER というように示します。
現在サポートされている #define ディレクティブ
UNITY_5_3_OR_NEWER | Unity 5.3 以上の新しいバージョン向けの Define |
スクリプトバックエンドでコードを分けてコンパイルすることもできます。
ENABLE_MONO | Mono のスクリプティングバックエンド #define ディレクティブ |
ENABLE_IL2CPP | IL2CPP のスクリプティングバックエンド #define ディレクティブ |
ENABLE_DOTNET | .NET のスクリプティングバックエンドンド #define ディレクティブ |
また、 DEVELOPMENT_BUILD
#define ディレクティブを使用して、スクリプトが “Development Build” オプションを有効にしてビルドしたプレイヤーで実行されているかを確認できます。
以下は、プリコンパイルコードの使用例です。選択したビルドターゲットのプラットフォームにもとづいてメッセージを出力します。
まず初めに、コードをテストしたいプラットフォームを選択するために File > Build Settings をクリックします。これによりターゲットプラットフォームを選択する Build Settings ウィンドウが表示されます。
プリコンパイルコードをテストしたいプラットフォームを選択して、Switch Platform を押下し、どのプラットフォームをターゲットにするのか Unity に知らせます。
スクリプトを作成し、次のコードをコピー&ペーストします。
// JS
function Awake() {
#if UNITY_EDITOR
Debug.Log("Unity Editor");
#endif
#if UNITY_IPHONE
Debug.Log("Iphone");
#endif
#if UNITY_STANDALONE_OSX
Debug.Log("Stand Alone OSX");
#endif
#if UNITY_STANDALONE_WIN
Debug.Log("Stand Alone Windows");
#endif
}
// C#
using UnityEngine;
using System.Collections;
public class PlatformDefines : MonoBehaviour {
void Start () {
#if UNITY_EDITOR
Debug.Log("Unity Editor");
#endif
#if UNITY_IOS
Debug.Log("Iphone");
#endif
#if UNITY_STANDALONE_OSX
Debug.Log("Stand Alone OSX");
#endif
#if UNITY_STANDALONE_WIN
Debug.Log("Stand Alone Windows");
#endif
}
}
コードをテストするには Play Mode をクリックします。Unity のコンソールに表示される選択したプラットフォームに基づく関連メッセージで、コードが正常に作動していることを確認してください。例えば、iOS を選択すると、コンソールに Iphone と表示されます。
C# では CONDITIONAL
属性を使用することでどれよりもエラーが少なくクリーンなものを作成することができます。詳しくは http://msdn.microsoft.com/en-us/library/4xssyw96(v=vs.90).aspx を参照してください。
基本的な #if
コンパイラディレクティブに加えて、C# および JavaScript のどちらでも以下のようにテストできます。
#if UNITY_EDITOR
Debug.Log("Unity Editor");
#elif UNITY_IOS
Debug.Log("Unity iPhone");
#else
Debug.Log("Any other platform");
#endif
ビルトインのセレクションに自身のカスタム #define ディレクティブを追加することもできます。Player Settings の Other Settings パネルで、Scripting Define Symbols テキストボックスが表示されています。
ここで特定プラットフォームで定義したいシンボルの名前を入力し、(複数ある場合は) セミコロンで区切ります。これらのシンボルは、ビルトインのものと同様に #if
ディレクティブの条件として使用できます。
自身のカスタムのプリプロセッサーディレクティブを定義して、コンパイル時にどのコードを含むかを制御することができます。これを行うためには追加のディレクティブを含んだテキストファイルを Assets フォルダーに追加します。ファイルの名前は使用している言語に依存し、拡張子は __.rsp__です。
C# | <Project Path>/Assets/smcs.rsp |
C# - Editor Scripts | <Project Path>/Assets/gmcs.rsp |
UnityScript | <Project Path>/Assets/us.rsp |
例として、もし smcs.rsp に -define:UNITY_DEBUG
の 1行を加えると、#define ディレクティブ UNITY_DEBUG
は、エディタースクリプトを除いて、C# スクリプトでグローバルの #define になります。
.rsp ファイルに変更を行うたびに、それを有効にするためには再コンパイルを行う必要があります。これを行うにはスクリプトファイル( .js または .cs )を1つ、更新または再インポートするだけです。
注意
グローバル #define ディレクティブのみを修正したい場合、Player Settings の Scripting Define Symbols を修正すべきです。なぜなら、これがすべてのコンパイラをカバーするからです。もし代わりに .rsp の変更を選択すると、Unity が使用するコンパイラごとにひとつのファイルを提供する必要があり、どのコンパイラが使用されているのかを知ることができません。
.rsp ファイルの使用法はエディターインストールフォルダーに含まれる smcs アプリケーションの ‘Help’ で説明されています。詳細な情報を得るには、smcs -help
を実行してください。
.rsp ファイルは起動するコンパイラーと一致する必要があることに注意してください。例えば、
smcs.rsp
とともに使用されますgmcs.rsp
とともに使用されますcsc.rsp
とともに使用されます