ビルトインパーティクルシステムの Triggers モジュールでは、シーンの 1 つまたは複数のコライダーとの相互作用に基づいてパーティクルにアクセスし、修正することができます。このモジュールを有効にすると、パーティクルシステムはアタッチされたスクリプトで OnParticleTrigger() コールバックを呼び出します。このコールバックを使って、シーンのコライダーに対する位置に応じてパーティクルのリストにアクセスできます。
このモジュールは、Particle System コンポーネントの一部です。新しい Particle System ゲームオブジェクトを作成する場合、または終了したゲームオブジェクトに Particle System コンポーネントを追加する場合、Unity は Triggers モジュールを Particle System に追加します。デフォルトでは、このモジュールは無効化されています。新しい Particle System を作成し、このモジュールを有効にするには、次のようにします。
まず、パーティクルが相互作用できるシーンのコライダーを指定します。そのためには、 コライダー のリストプロパティに 1 つ以上のコライダーを割り当てます。リスト内のコライダー数を増やすには、コライダーのリストの下にある + ボタンをクリックします。リストからコライダーを削除するには、コライダーを選択して - ボタンをクリックします。リストのインデックスにまだコライダーを割り当てていない場合は、空のエントリーの右側にある小さい + ボタンを使って、新しいコライダーを作成して割り当てることができます。この例では、パーティクルシステムの子として新しいゲームオブジェクトを作成し、そこにスフィアコライダーをアタッチしてから、コライダーを空のエントリーに割り当てます。
コライダーを追加した後、特定のトリガーイベントタイプを渡す基準を満たすと、パーティクルの動作を指定することができます。以下のような 4 つのイベントタイプがあり、パーティクルがどのようにコライダーと相互作用するかを表します。
Inspector では、これらのイベントタイプごとにドロップダウンがあり、トリガーイベントの条件を満たす場合にパーティクルに何が起こるかを選択することができます。選択肢は次のとおりです。
このモジュールは Particle System コンポーネントの一部であるため、ParticleSystem クラスを通してアクセスします。このモジュールにアクセスし、ランタイムに値を変更する方法については、Triggers モジュール API のドキュメント を参照してください。
トリガーイベントの 1 つに対するリアクションとして Callback を選択する場合、アタッチしたスクリプトからイベント条件を満たすパーティクルにアクセスできます。これを行うには、まず OnParticleTrigger()
関数をアタッチしたスクリプトに加える必要があります。この関数内で、ParticlePhysicsExtensions.GetTriggerParticles() 関数を呼び出して、トリガーイベントの条件を満たすパーティクルのリストを取得します。この関数は、パーティクルを取得したいトリガーイベントを指定するParticleSystemTriggerEventType (Inside、Outside、Enter、Exit) と、この関数が結果を表す Particles のリストを受け取ります。このリストから、任意のパーティクルにアクセスしたり、変更したり、破棄したりすることができます。また、この関数は任意のパラメーターをとり、各パーティクルがどのコライダーをトリガーしたかなどの衝突情報を出力することができます。Collider Query Mode プロパティは、このパラメーターを通して利用できる情報を制御します。
API の詳細や使用方法については、以下の例 を参照してください。
このセクション内の一部のプロパティでは、異なるモードを使用して値の設定が行えます。使用可能なモードについての詳細は、Varying properties over time を参照してください。
プロパティ | 説明 |
---|---|
Inside | コライダー内のフレームごとに、パーティクルシステムがパーティクルに対して行うアクションを指定します。オプションは以下の通りです。 • Callback: パーティクルを OnParticleTrigger() コールバックで取得できるリストに追加します。 • Kill: パーティクルを破棄します。 • Ignore: パーティクルを無視します。 |
Outside | コライダー外のフレームごとに、パーティクルシステムがパーティクルに対して行うアクションを指定します。オプションは以下の通りです。 • Callback: パーティクルを OnParticleTrigger() コールバックで取得できるリストに追加します。 • Kill: パーティクルを破棄します。 • Ignore: パーティクルを無視します。 |
Enter | コライダーに入るフレームのパーティクルに対して、パーティクルシステムが行うアクションを指定します。オプションは以下の通りです。 • Callback: パーティクルを OnParticleTrigger() コールバックで取得できるリストに追加します。 • Kill: パーティクルを破棄します。 • Ignore: パーティクルを無視します。 |
Exit | コライダーから外に出るフレームのパーティクルに対して、パーティクルシステムが行うアクションを指定します。オプションは以下の通りです。 • Callback: パーティクルを OnParticleTrigger() コールバックで取得できるリストに追加します。 • Kill: パーティクルを破棄します。 • Ignore: パーティクルを無視します。 |
Collider Query Mode | パーティクルが相互作用するコライダーに関する情報を得るために、このパーティクルシステムが使用する方法を指定します。これは Triggers モジュールを処理する際のリソース強度を増加させるので、余分な衝突情報が必要ない場合は、このプロパティを Disabled (無効) に設定してください。オプションは以下の通りです。 • Disabled: 各パーティクルがどのコライダーと相互作用するかについての情報を取得しません。 • One: 各パーティクルが相互作用する最初のコライダーについての情報を取得します。パーティクルがフレーム内の複数の コライダーと相互作用した場合、Collider リストのパーティクルが相互作用した最初のコライダーを返します。 • All: 各パーティクルが相互作用したすべてのコライダーの情報を取得します。 |
Radius Scale | パーティクルのコライダー境界。これにより、パーティクルのコライダー境界をパーティクルの視覚的な外観により近づけることができます。これは、パーティクルが円形でテクスチャでフェードする場合、デフォルトのパーティクルコライダーではパーティクルが目に見える前にトリガーの内側に入ってしまうので便利です。 • 1 を入力すると、パーティクルコライダーのサイズを同じに保ち、パーティクルがコライダーに触れるとイベントが発生するように見えます。 • 1 より小さい値を入力すると、パーティクルのコライダーが小さくなり、パーティクルがコライダーを突き通った後にトリガーが発生するように見えます。 • 1 より大きい値を入力すると、パーティクルのコライダーが大きくなり、パーティクルがコライダーを突き通る前にトリガーが発生するように見えます。 |
Visualize Bounds | シーンビューで各パーティクルのコライダー境界を表示するかどうかを示します。コライダー境界を表示するにはこのプロパティを有効にし、隠すには無効にします。 |
以下の例では、パーティクルがコライダーに侵入すると赤くなり、コライダーの境界から出ると緑に変わります。
using UnityEngine;
using System.Collections;
using System.Collections.Generic;
[ExecuteInEditMode]
public class TriggerScript : MonoBehaviour
{
ParticleSystem ps;
// これらのリストは、各フレームでトリガーの条件に
// 一致するパーティクルを格納します
List<ParticleSystem.Particle> enter = new List<ParticleSystem.Particle>();
List<ParticleSystem.Particle> exit = new List<ParticleSystem.Particle>();
void OnEnable()
{
ps = GetComponent<ParticleSystem>();
}
void OnParticleTrigger()
{
// このフレームのトリガーの条件に一致するパーティクルを取得します
int numEnter = ps.GetTriggerParticles(ParticleSystemTriggerEventType.Enter, enter);
int numExit = ps.GetTriggerParticles(ParticleSystemTriggerEventType.Exit, exit);
// トリガーに侵入したパーティクルを走査し、赤にします
for (int i = 0; i < numEnter; i++)
{
ParticleSystem.Particle p = enter[i];
p.startColor = new Color32(255, 0, 0, 255);
enter[i] = p;
}
// トリガーから出ていくパーティクルを走査し、緑にします
for (int i = 0; i < numExit; i++)
{
ParticleSystem.Particle p = exit[i];
p.startColor = new Color32(0, 255, 0, 255);
exit[i] = p;
}
// 変更したパーティクルをパーティクルシステムに再割り当てします
ps.SetTriggerParticles(ParticleSystemTriggerEventType.Enter, enter);
ps.SetTriggerParticles(ParticleSystemTriggerEventType.Exit, exit);
}
}
この例の結果は下の画像の通りです。
次の例では、GetTriggerParticles()
関数から抽出できる追加の衝突データを利用しています。1 つ目のコライダーの境界内にあるパーティクルは赤に、2 つ目のコライダーの境界内にあるパーティクルは青に、そして両方のコライダーの境界内にあるパーティクルは緑になります。また、パーティクルがコライダーの内側にない場合は白色になります。この例では、 Collider Query Mode を All に設定しています。
using UnityEngine;
using System.Collections;
using System.Collections.Generic;
[ExecuteInEditMode]
public class TriggerScript : MonoBehaviour
{
void OnParticleTrigger()
{
ParticleSystem ps = GetComponent();
// パーティクル
List inside = new List();
List exit = new List();
// get
int numInside = ps.GetTriggerParticles(ParticleSystemTriggerEventType.Inside, inside, out var insideData);
int numExit = ps.GetTriggerParticles(ParticleSystemTriggerEventType.Exit, exit);
// 繰り返し
for (int i = 0; i < numInside; i++)
{
ParticleSystem.Particle p = inside[i];
if (insideData.GetColliderCount(i) == 1)
{
if (insideData.GetCollider(i, 0) == ps.trigger.GetCollider(0))
p.startColor = new Color32(255, 0, 0, 255);
else
p.startColor = new Color32(0, 0, 255, 255);
}
else if (insideData.GetColliderCount(i) == 2)
{
p.startColor = new Color32(0, 255, 0, 255);
}
inside[i] = p;
}
for (int i = 0; i < numExit; i++)
{
ParticleSystem.Particle p = exit[i];
p.startColor = new Color32(1, 1, 1, 255);
exit[i] = p;
}
// set
ps.SetTriggerParticles(ParticleSystemTriggerEventType.Inside, inside);
ps.SetTriggerParticles(ParticleSystemTriggerEventType.Exit, exit);
}
}
この例の結果は下の画像の通りです。