Unity 5.0 の特色には PhysX3.3 SDK へのアップグレードがあります。4.x のプロジェクトで何かしらのアクションを起こす前に急いでこの記事に目を通してみてください。そうすれば新しいコードベースから何が期待できるのかのイメージを得られるはずです。High Performance Physics in Unity 5。PhysX3 と PhysX2 には100%の互換性があるわけではないので、ユーザーがアップグレードする前にいくつか必要な行動があることには十分注意してください。
Unity 5.0 の物理挙動は以前のバージョンと比べて最大2倍まで速く動作することが可能です。良くご存じのコンポーネントのほとんどは変わらずに存在していますし、依然と変わらず動作していることも分かるかと思います。もちろん、挙動を一致させるのが不可能なものがあったり、すでに存在しているコードベースの制限によって奇妙な挙動になるものもあるので、変更を加えなければいけませんでした。もっとも重要な変更があったのは、Cloth コンポーネントと WheelCollider コンポーネントの2つです。それぞれについて、以下に説明します。次に、互換性が効かない原因となる物理コード全体の細かな変更について説明します。
Adaptive Force は巨大なスタックのシミュレーションを手助けするために導入されましたが、デモでのみよく挙動することが分かりました。実際のゲームでは不適切な挙動の原因になる場合がありました。設定はエディターの Physics プロパティーで以下のように選択することで切り替えられます。 Edit -> Project settings -> Physics -> Enable Adaptive Force
PhysX3 には PhysX2 と同じ問題を誘発するという特徴があります。主要な欠点のない解決策になると誤解されるので、切り替えができないようにしました。
アップグレード後には Spring のパラメーターの調整が必要な場合があります。
Terrain の物理マテリアルを指定するためには TerrainCollider.sharedMaterial と TerrainCollider.material を使用してください。TerrainData を介して物理マテリアルを設定する古い方法は動作しなくなりました。おまけとして、それぞれのコライダーの基礎ごとに Terrain 物理マテリアルを指定することができるようになりました。
複合コライダーを使用する場合、OnCollisionEnter はそれぞれの接触ペアごとに呼び出されるようになりました。
現バージョンより、トリガーは凸状のシェイプでのみ使用できます (PhysX の制限)。
動的なボディ (すなわち、IsKinematic が false に設定されている Rigidbody がアタッチされているもの) に凹状のメッシュコライダーは使用できません (PhysX の制限)。
凹状のメッシュを衝突させたい場合、静的コライダーとキネマティックなボディにのみ設定できます。
ラグドール用のジョイントのセットアップは調整が必要な可能性があります。
同じことが、ジョイント一般にも当てはまります。
最新の情報は、ジョイントとラグドールの安定性 を参照してください。
Angular Y Limit や Angular Z Limit に小さい値を使用するのは避けてください。設定によって、安定させるために最低角度を 5 から 15 度くらいに設定します。小さい角度を使用する代わりに角度を 0 に設定してみてください。このようにすると、軸を固定し安定したシミュレーションが提供されます。
Enable Preprocessing を false に設定して (チェックしないで) ください。preprocess (事前処理) を無効にしておくことでジョイントが吹き飛ばないように補助します。ジョイントは、接続している位置に制約許容量を超える力が加わった場合に吹き飛びます。これは、ラグドールが一部だけ壁の中にスポーンされるなど、つながっているリジッドボディが静的ジオメトリによって引き割かれる場合に起こる可能性があります。
ラグドールの安定性と伸縮について - ラグドールが部分的に壁の中にスポーンされる、または莫大な力で押されるなど、ラグドールが極端な状況に置かれた場合、ジョイントソルバーはリジッドボディ同士をつなぎとめておくことはできません。その結果、それらが伸縮したり、「ボディパーツがばらばらになる」ことになる可能性があります。ConfigurableJoint.projectionMode、または CharacterJoint.enableProjection を使用することでジョイントの見積もりを有効にしてください。
ジョイントによって繋がったボディが小刻みに震える場合、Edit -> Project Settings -> Physics -> Solver Iteration Count に移動し、値を10から20の間に増やしてください。
決して他のボディに繋がっている kinematic なボディの Transform を直接使用しないでください。そうすると、PhysX によるボディと一致した内部的な速度計算ステップをスキップしてしまい、それゆえにソルバーが満足のいかない結果を出すことになります。我々は 2D プロジェクトでリグのルートボーンで transform.direction を経由する代わりに、キャラクターを反転するために Transform への直接アクセスを使用しているものをいくらか見てきました。MovePosition / MoveRotation / Move を代わりに使用する場合、これはより良く振る舞います。
Unity 4 で使用していたロックメカニズムはロックされた回転の変更を基本的に廃棄し、角速度をポストソルバーステップでリセットしていました。これは、ソルバーが毎フレーム回転を調整しようとしながら、ボディが sleep 状態になろうとするという問題があること以外は、おおむね良好に動作していました。そして、これと関連するケースも近年いくらか発見されています。PhysX3 インテグレーション上で動作させるときロックされた回転角度の自由のために無限慣性テンソルコンポーネントを設定できるという PhysX 3.3 の新しいクールな特徴を利用しました。ボディが適切に sleep 状態になるように、これがソルバーでサポートされるようになりましたが、これは慣性なのでローカル座標で適用されます。
新しいホイールコライダーは、PhysX2 によるコードと比べて根本的にまったく新しい車両ライブラリである PhysX3 Vehicles SDK で提供されています。
新しいホイールコライダーについてはこちらを参照してください。
Unity 5 では、新しい PhysX SDK によって提供される完全に書き直されたクロスソルバーを使用します。このクロスソルバーはキャラクターの服飾を考慮してデザインされており、パフォーマンスや安定性について古いバージョンと比べて大幅な改善が施されています。Unity 5 は Unity 4 における SkinnedCloth と InteractiveCloth コンポーネントを Cloth コンポーネント 1 つに置き換えており、これは SkinnedMeshRenderer と連携して動作します。機能は以前の SkinnedCloth コンポーネントと似ていますが、ノンスキンのメッシュを SkinnedMeshRenderer に任意に割り当てることが可能になりました。そのため、クロスのシミュレーションをどんなメッシュでも扱うことが可能です。
ただし、古い InteractiveCloth で利用可能だったいくつかの機能は優れたパフォーマンスをするように実装するのが難しいため、これらは新しいバージョンの PhysX ではサポートされなくなりました。特に、以下のものがあげられます。